外国人の採用の現状

最近、日本では本当に外国人の方を多く見かけるようになりました。

以前はコンビニで見かけることが多かった外国人スタッフですが、最近は、居酒屋やレストランなどの飲食店でも、外国人従業員の方をよく見かけます。

これはどうしてなのでしょうか。

現在、日本国内では少子高齢化が進み、ここ数年、多くの業界で人手不足の状態が続いています。

いわゆる「超売り手市場」の時代となっています。飲食店ももちろん例外ではありません。

実際、飲食店では、普通にアルバイトを募集しても日本人の従業員はなかなか集まりません。

ある居酒屋では、50万円かけてスタッフの募集をかけたところ、冷やかしのような電話が1本鳴っただけだったそうです。

これは極端な例ではありますが、要はそれぐらい、今は飲食店のスタッフ確保は困難なのです。

そしてこのような飲食店の人手不足の穴を埋めているのが外国人スタッフなのです。

では、外国人スタッフを採用するメリット・デメリットはどのようなものなのでしょうか。

また、外国人スタッフを採用する場合、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

以下見ていきましょう。

外国人スタッフを採用するメリット

① 海外からの旅行者への対応で売上UP

ここ数年、日本への海外旅行が年々増加しています。

海外旅行で自炊をするケースはあまりないですから、海外旅行者の増加に伴い、海外旅行者の飲食店利用者数も増加しています。

ただ、日本の飲食店すべてが外国人観光客に外国語でしっかり対応できているわけではありません。

せっかく外国から来店しても、日本人スタッフだけでは言葉がなかなか通じずに、満足な接客ができないなんてこともよくあります。

このような場合、外国人のスタッフにお店を訪れた外国人観光客の接客を任せることで、お客さまとの意思疎通が図ることができ、満足度も上がる、ということがたくさんあります。  

そして、サービスに満足したお客様がこれをSNSにUPしたり、友人に紹介したりすることでお店の宣伝となり、好循環が生まれていくのです。

② 就労のモチベーションが高い

 外国人労働者が日本人と大きく違う点は、この就労へのモチベーションの高さです。

もちろん個人差はありますが、就労ビザを取得して働く人は「就労目的」で来日しているので、やる気がある人が多いです。

また留学生は就労可能な時間は限られていますが、高い学費を払って日本に留学しに来ているので、短時間でしっかり稼がないといけないので、やはりモチベーションは高いです。

そして、やる気がある外国人は、その分成長も早いので、仕事も早く覚え、飲食店の戦力となっていくのです。

③ 日本人スタッフが成長する

意外に思われるかもしれませんが、優秀な外国人スタッフと一緒に働くと、日本人スタッフも成長します。

実際、例えば、異国で一生懸命頑張っている外国人スタッフを身近に見ることで、日本人スタッフが自分も頑張ろう!という気になることも多いのです。  

また外国人スタッフと食べ物の話や趣味の話等のコミュニケーションを取ることで、自分の知らない国の文化や考え方、言葉などに触れ、今までにない発想が生まれることもあります。

外国人スタッフを採用するデメリット

上記のように、外国人スタッフを雇用することは、飲食店にとって、様々では逆に、外国人スタッフを採用するデメリットはどんなことでしょうか。

① 外国人の自国の経験、文化と日本での文化や言語のギャップが大きい

そんなことはわかっている、そう言いたい気持ちはわかります。

しかし、人間は、一般に、よほど意識改革しない限り、過去の自分の経験、基準からしか物事を判断できません。

ですから、現実には、外国人労働者を採用しているお店で日本人と同じように考えて普段通り指導し、日本との文化の違いを理解させたり言語の細かいニュアンスなどがうまく伝えたりすることができず、苦労する飲食店が多いです。  

その結果、「やっぱり外国人はダメだ」と決めつけてしまう飲食店のオーナーさんが少なくありません。

② 外国人スタッフの採用手続きが複雑

実は、外国人を採用した場合、日本人を雇用した時とは違う手続きが必要となります。

この手続きは主として入国管理局に対して行う手続きですが、これを一からしっかり学ぶと膨大な時間がかかります。

一方で、飲食店の多くは個人経営のお店やフランチャイズ店等、小規模な店です。

そのため、「外国人の雇用は初めてで、手続きがわからないので、不法就労をさせたりしてしまわないか不安。

だから外国人雇用に踏み切れない」というオーナーさんの悩みもよくききます。

外国人スタッフを採用する手続きのポイント

では、外国人スタッフを採用する場合、どのようなことに気を付けないといけないでしょうか。

まず、採用にあたっては、外国人が「就労できる在留資格(ビザ)があるか」を必ずチェックしましょう。

チェックの方法は、採用予定の外国人に外国人のIDにあたる、「在留カード」の提示を求め、それをじっくり観察してください。

まず、在留資格(ビザ)の種類が「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」であれば職種や勤務時間の制限なく日本人と同じように働くことができます。

また、「留学」ビザをもつ学生などは、入国管理局で「資格外活動許可」を得れば飲食店で働くことが可能です。

ただし原則として週に28時間以上働くことは、法律で禁止されているので注意しましょう。

また、飲食店とはいっても、BAR等の風俗営業店では就労はできませんので注意が必要です。

注意してほしいのが、「技術・人文知識・国際業務」や「技能」等の就労ビザを持っている外国人です。

日本の入管法では、上記のような就労ビザがあっても、どんな仕事でもできるわけではなく、在留資格ごとに決められた範囲の仕事しかできません。

ですから、「技術・人文知識・国際業務」のビザで皿洗いをしたり、「技能」のビザでホールで接客したりすると不法就労になりますので、ご注意ください。

業種が微妙なケースや就労させてよいかの判断に迷った場合は、外国人ビザ専門の行政書士に相談するとよいと思います。

上記の点に問題がなければ、労働者の氏名・在留資格・在留期間などを、ハローワークへ提出します。

まとめ

外国人労働者を採用するにあたっての、メリットとデメリットについてご紹介しました。

他国の文化は、私たち日本人にとって良い刺激になることもあれば、文化のギャップによって戸惑いやすれ違いを生む原因にもなります。  

こちらが日本について教えるだけでなく、彼らの働き方やコミュニケーションから私たちが学ぶことも多くあるはずです。

ここで外国人スタッフとの意思疎通が、しっかりはかれるようにサポートできれば、外国人スタッフは店にとって心強い働き手となってくれるでしょう。

2020年に東京オリンピックを控え、インバウンドはさらに拡大し外国人観光客が増えています。

外国人は苦手、と一方的に決めつけるのではなく、積極的に外国の方ともやりとりができるような、本当のおもてなしの心構えを持っていきたいものですね。